6/8 「心の回復」 三浦 遙    聖句:使徒2:1-13

 教会の誕生日とも言われる聖霊降臨日/ペンテコステ。弟子達が集まり、新しい弟子の選出をした際に、神の霊が下り、弟子達が様々な国の言語で語り始める様子が描かれていきます。ペンテコステの出来事では「激しい風」や「炎のような舌」という言葉で神の霊を表現していまいた。旧約聖書では「霊」と「風」が同じ言葉で表現されていますし、またモーセの召命と神の顕現の際には「燃え尽きない柴」という炎のイメージがあり、今回の箇所はそれらを想起させます。この聖霊降臨の物語は、預言者の言葉にもあった「神の霊が全ての人に注がれる」ことの兆しが今回の弟子達を通してはっきりと示されたこと。そして、復活のイエスが弟子達に語りかけた「水ではなく聖霊による洗礼」が実現した瞬間として描かれていくのでした。

 やはり興味深いのは、神の霊に満たされた弟子達が様々な言語で語り始めること。「言語」というと創世記のバベルの塔の物語を思い起こします。神に対して高慢になった人々を見かねた神が、言語をバラバラにしてしまう物語。言い換えれば元々人間は同じ言語を話していたわけです。主の霊を通して言語の壁が打ち払われることは、ある意味で人間同士の交わりの回復が示されているということ。そして預言者の言葉にもあった「異邦人へのしるし」として、福音は全ての人に語りかけられるという恵みが示されていくのです。

 ペンテコステは神の霊が与えられたことが注目されますけれど、その霊が与えたのは言語だけではなく、人々の心の回復でした。イエスを失い不安に思う心。イエスを裏切ってしまい傷ついた心。何より旧約の時代から神との関係において上手くいかずに砕けた心が、この聖霊降臨の出来事を通して新しい霊を与えられ、希望と喜びをその心に抱かせてくださったのです。聖霊降臨と教会の誕生を記念するペンテコステの時、まさに新しい心としての初心を思い起こし、歩んでいくことができますように。

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