7/14 「食卓を囲み」  三浦 遙   聖句:使徒27:33-44

 ローマ帝国に捕まり囚人としてローマに護送されるパウロは長い船旅を余儀なくされました。今の船と異なり、当時の船旅は過酷かつ長期間のものでした。しかし、その旅の中で嵐に遭い、命の危険に晒された時、パウロは他の囚人達や船員を含む人々に励ましの言葉を投げかけていきます。今回の箇所には、この使徒言行録とルカ福音の著者も共に行動していたと前の箇所に記されていました。

 今回の箇所では、その船旅を共にする人々と共に食事をする様子が描かれていました。14日も食事が出来なかった中、陸地が近づき、泳いで脱出しなければならなかったため、体力をつけるために食事をすることを勧めたのです。兵士たちはこの囚人達が脱走することを恐れて、殺してしまうことも考えていましたが、囚人であるにも関わらず、平等に励ましの言葉をかけるパウロを見た兵士たちもその姿に感化されて、皆で脱出することを選んだのでした。

 しかし、これらのことは「パウロがローマ皇帝の前で福音を語る」という使命のために神が守り導いてくださったこと。言い換えれば、パウロが殉教する道の只中であったのです。パウロはそのことを知った上で、それでもなお人々と交わりを持ち、食事を共にし、その中で神に対して感謝と賛美の祈りを献げるのです。たとえ、死に直面する場面でも、また死に向かう道のりであっても、パウロはこれまでと同様に、またイエス・キリストと同じように、いつもの食卓を囲んでいく。それはいついかなる時であってもパウロが神の御言葉に励まされ、神の御言葉によって確信を持って生きていた姿であるのだと思わされます。

 人生の、そして信仰の旅路はこの船旅のように過酷で厳しい時があります。しかし、どんな時であっても思い起こしていきたいのは、食事という日々の糧と、何より神様の御言葉によって守られ、支えられ、力づけられているということ。わたし達も、目に見えない重荷を背負って生きる人々と、共に食卓を囲みつつ、神の御言葉によって支えられている姿を示しながら、感謝を持って愛のある交わりを成していくことが出来ればと願います。

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