12/24 「諸人こぞりて」 三浦 遙 聖句:ルカ2:1-20
クリスマスは、イエス・キリストの誕生を記念しお祝いする日です。その実、この24日にイエスが生まれたという明確な証拠も無ければ、物語における史実性もほぼ皆無であると言われます。それでも、毎年全世界でこのクリスマスが祝われています。イエスが生まれたクリスマスも、イエスが宣教において人々に告げ知らせた言葉も「良い知らせ」であり、「福音」であると言われます。では、その「良い知らせ」はいつの、誰に向けてのものでしょうか。
クリスマスの物語において、このイエスの誕生が一番最初に知らされたのは、イエスを生む役目を与えられたマリアでしたが、本当の意味で世界に知らされた時、その場にいたのは羊飼い達でした。羊飼い達は、当時の社会の中で最も貧しく、厳しい状況に置かれた人々の代表として用いられています。救い主イエス・キリストの誕生という「良い知らせ」が、最も貧しく弱められていた羊飼い達に最初に知らされたというのは、彼らが最も救い主を、「救い」を求めていたからだと聖書は語ります。
しかし、思い起こしていただきたいのは、その羊飼い達に示された天使の言葉。「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。」という言葉は、羊飼いだけではない、全ての人に示された言葉であるということです。それは、「今日」という言葉も、「あなたがた」という言葉も、今のわたし達に当てはまる言葉として読むことができるからです。「西暦0年12月24日」でもなければ、「羊飼い達のために」でもない、「今日、あなたがたのために」救い主がお生まれになったのです。それは紛れもない、「2023年12月24日」の救いを求める「わたし達」であり、「全ての人々」のためにお生まれになったのです。だからこそ、「諸人(全ての人々よ)こぞりて、うたえまつれ」と歌うのです。
もちろん、その「良い知らせ」に向き合わない人々もいます。当時差別されていた羊飼い達の言葉にどれだけの人が耳を傾けたでしょうか。目もくれず、聞こうともしない人の耳には聞こえないけれども、今も確かに、「今日、あなた方のために救い主がお生まれになった」という喜びの知らせが響き渡っている。わたし達は救いを求める人々の群れに加わり、その恵みの知らせを聞き、喜び満たされるこのクリスマスに、共に賛美しその恵みを分かち合えている。その幸福をしっかりと受け止めながら、感謝を持って歩んでいくことができますように。
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