7/30 「古き教えから」 三浦 遙 聖句:1ペト3:13-22
ペトロの手紙は初期キリスト教会への迫害が強まっていた時期に、教会への励ましとしてペトロが記したものであるとされています。冒頭の13節において、「善いことに熱心であるなら、誰があなた方に害を加えるでしょう」とあります。因果応報と言う言葉があるように善い行いには善い結果が、悪い行いには悪い結果が与えられる。しかし、当時の教会は善い行いの故に迫害を受けていたのです。そんな教会に向けて14節でペトロは「義のために苦しみの受けるのであれば幸いです。人々を恐れたり、心を乱したりしてはいけません。」と示していました。この言葉は、福音書で語られたイエス・キリストの教えにあったものです。「義に飢え渇く人は幸いである。その人は満たされる。」とイエスは群衆に向けて語っていました。ペトロはそのイエスの教えを思い起こして、迫害の最中にある教会に伝えているのです。
加えて、迫害について「正しい良心」で応えるようにと語ります。「穏やかに、敬意を持って、正しい良心で弁明しなさい。そうすれば、悪口を言ったことを恥じ入るようになる。」と。それは、「悪を行なって苦しむより、善を行って苦しむ方が良い」という信仰と主への愛を持って生きることを勧めるペトロの思いが示されているのです。何より、それらはイエス・キリストが生涯を通してなされた事であるとペトロは語ります。何よりも義の為に生き、神に従わなかった人々のところに赴いて御言葉を示されたイエス。ペトロはそのことを旧約聖書のノアの方舟を用いて示しています。地上に悪が蔓延し、全てを洗い流された神が、唯一ノアとその家族を導き救われた。しかし、ノア以外の人々にも忍耐を持って待っておられたと。それから長い年月が経ち、再び地上に悪が蔓延したとき、イエスがその人々のもとに歩み寄ったのだと。洗礼という秘儀を通して、神の愛と救いが示されたことを思い起こし、迫害者や義のための苦しみと向き合うことを伝えるのでした。
ペトロはイエスの教えや、旧約の物語を用いて、教会に語りかけています。それは、旧約という古い教えから、イエスという新しい教えと通して、神の救いが示されてきたという事です。ただ、昔のことを切り捨てるのではなく、それらを受け継いできたからこそ新しい教えがある。キリスト教会達が迫害に苦しむ中で、それでも真心と義を持って忍耐強く言葉をかけていたことも思い起こしつつ、今のわたし達が古き教えと今の苦しみとに目を向け、新しく主の福音を述べ伝えていく事ができればと願います。何より、主の御心に適う歩みをなす事ができますように。
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